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ある夏の朝

また今年も、蝉が賑やかに鳴く季節となった。この集合住宅で迎える3度目の夏。その蝉の鳴き声は昨年の事を昨日のことであるかのように思い出させる。

 昨年のある日曜日、朝8時半ごろ。チャイムが鳴ってインターホンを取ると消防署。隣室から非常ベルが鳴リ続いており、当方のベランダを通って隣室へ行きたいという。本物の消防隊員なのかどうか、ベランダから外を見ると確かに消防車が止まっている。高気密のこの部屋は、ほとんど外の音が聞こえない。慌てて、部屋に入ってもらった。

  9Fのベランダから手すりを乗り越え、隣室に入る消防隊員。猛暑の中、長袖・長ズボン・長靴(非常に重い)という、重装備で身軽によく動けるものだ。非常事態に備えて訓練を欠かさない隊員の逞しさに敬意と感謝の念が自然と湧いてきた。隣家の窓はロックされており、入室するには窓ガラスを壊すしかない。消防署やURとのやり取りの中で、隊員から“空き家”という言葉が発され、鍵が届けられるまで待機ということになった。「空き家? ベランダには植木鉢があり、空き家であるはずはないと思う。」と伝えた。

  当方はこの部屋に住んで1年4か月。同じフロアに8戸の部屋があるが、残念ながら、その間、顔を合わせたのは数人で回数も数えるほど。入居時、何度か、隣室にも挨拶には行ったが不在だったので、隣人も定かではなく、家族構成もわからない。そして、それから1時間半ほどして、消防隊員が再び、当方ベランダから隣室へ。すなわち隣室は内側からロックされており、鍵があっても開けられなかったということだ。不吉な予感。窓ガラスを割って突入。そして、玄関から複数の消防隊員が入室。

 「女性一人発見」の声。時、既に遅かったようだ。隣人が救いを求めて、非常ベルを鳴らし、しかし、壁一枚隔てた当方にはその音が聞こえない。ちょうど盛夏。一晩中クーラーをつけ、窓を閉めたままの部屋には非常ベルの音は、かすかに聞こえる電子音並の音に過ぎない。6時半ごろ目覚めた時に家人がアラームをかけていると思っていた。静かにしていると聞こえるが、動いていると気付かないかすかな音が、救いを求めていたとは。
 なぜ、最初に突入できなかったのか。なぜ、“空き室”という言葉が出てきたのか。その言葉をはっきりと否定できていれば、助かったかもしれない。いろいろな疑念と後悔が湧いてくる。

 隣人であった女性は一人住まい。高齢のご両親がともに病床にあり、姉妹それぞれが面倒を見ておられたと、後日、ご遺族より聞いた。救いを求めての非常ベル。長時間、虚しく鳴り響いたであろう音。死者のご冥福を祈りたい。




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2013-07-02 23:09 : 雑感 : コメント : 0 :
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